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この美しい光景の中から、カメラマンだけを消すことが出来ればどんなにか良いだろうと思うことがある。
桜のトンネルを進む十石舟だけを写したかったのに、どう頑張ってもカメラマンを排除することが出来なかったから、あえてカメラマンも大きく写し込んでやった。
大体カメラマンという人種は、自らは美しい光景を追い求めておきながら、その中にある自分の風体というものには無頓着であることが多い。
地味な服装に大きな荷物を背負い、目をギョロつかせながら忙しなく動き回って、側から見るとこいつらは一体何をしているんだと実に怪しさ満点である。
本当は美しい光景の中で仲睦まじく遊ぶ家族連れや談笑するカップルを撮りたいのに、そういう人たちが紛れ込んでくると実にツマラナイ気分にさせられるもので、私自身もその写真をツマラナクさせるひとりであることは自覚してはいるものの、自分のことは棚に上げて腹ばかりが立ってしまう。
これが同族嫌悪というやつなのだろうか、こんな時ばかりはカメラをやっていること自体が嫌になる。