叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

愉楽


旅先で迎える朝は、格別である。


泊まったホテルは埃まみれだったけれど、狭っ苦しい寮の部屋での目覚めとは比べるべくもない。


早起きして、少し歩いて、泊まったホテルとは違うホテルのモーニングを食べた。


宿泊客限定との記載はあったものの、入れてくださった。


近来食べていない食パンのトースト、さくさくのクロワッサン、薄味の野菜スープ、淹れたての紅茶。


薄味の野菜スープは、最初はあまり美味しくないとさえ思ったけれど、食べ進めてゆくうちにおかわりが欲しくなるほどだった。


朝の早い時間はどんよりとした曇り、大粒の雨が時々ぽつぽつ落ちてくるような空模様だったが、時間が経つにつれて晴れ間が出て来て、昼間は暑いぐらいの陽気だった。


1件目のポートレートは、五重の塔とか清水寺とかそのあたり。


観光客がかなり戻って来ていて、ポートレートは非常にやりにくかった。


速いオートフォーカスのカメラで、バリバリと撮るならまだしも、のんびりゆったりやるのはどうもそぐわない。


2件目のポートレートは、伏見の十石船のあたり。


この辺も観光客がそれなりにいる。


狐の嫁入りというか、雨雲なんてないのに雨が降った。


夕方の光が多少入って来たけれど、良い具合に撮れたかどうか。


人が増えてきて、観光地であえてポートレートをやるような状況ではなくなってきたようで、嬉しいような、哀しいような。


私ひとりの旅も、今後はある程度計画を立ててやる必要がありそうだ。


昨日はいつも行く居酒屋にも断られたことだし。


今回の休みは愉快だったと、久しぶりに胸を張って言えるものだったから、帰ってきてから祝杯をあげた。


明日からの仕事もやるしかないし、何も考えずにやればよいというわけで、楽ちんといえば楽ちんなのだ。


また出掛けよう。