ズマールが帰ってきた。
私の心の弱さから一度は嫁に出してしまったけれど、また縁が繋がって私の元に戻ってきてくれたのだ。
やはり、どうしようもなくしっくりくる。
そもそもこの人の動きが少し鈍くなってしまったのも、私が行くところ行くところに連れ出してヘビーユーズしていたからで、特にレンズにとって過酷な環境である海に行くことが多い私は、この人にとって良い相棒ではなかったはずである。
それでも、最早ヴィンテージを超えてアンティークの域に足を突っ込みつつあるこの人は、常に私が満足する写りを叩き出してくれていた。
オールドレンズの世界はまさに一期一会の言葉が相応しい世界で、たとえ同じ種類だとしても同じ写りをするレンズはひとつとしてない。
だから、一度信頼出来るレンズを見つけたらそれを安易に手離すべきではないのだ。
今回は運良く戻ってきてくれて本当に良かった。
このひと月、どこへ行っても手持ち無沙汰でツマラナイ日々を過ごしていたけれど、これでやっと信頼に足る機材を連れ出して写真を撮ることが出来る。
同じ轍は、二度と踏むまい。