叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

東行


たかだが1時間の残業であっても、それが毎日積み重なれば多少疲れが出るらしい。

さらに言えば、早朝駅まで5kmの散歩をして疲労感は磐石のものになった。

それでも既に宿はとっているし、明日はポートレートの約束をしているから、えっちらおっちら東へ向かった。

JRの秋の乗り放題パスを買ったから、本当は東京まで行って新宿のカメラ屋を冷やかしたり、どこか適当な写真展を見に行ったり、ぶらぶらスナップを撮ったりしたかったのだが、そんな元気は当然なく。

電車の中でたっぷり眠りはしたものの宿をとった鎌倉あたりまで行くのが限界で、切符の費用対効果を考えればあまりよろしくない旅になってしまった。

ただ、9月に訪った時とは明らかに違う少し肌寒い由比ヶ浜で、何をするでもなく海を眺めているのは実に気持ちが良く、1時間ぐらいはぼさっとしたり、合間に写真を撮ったりした。

その後夕食ぐらいはそれらしいものを食べようと思って、鎌倉で有名ないわし料理のはま善さんを予約したのだが、お伺いする前になぜかカレーを食べたのは自分でもよく分からない。


はま善さんについては、カウンター6席の小さなお店に土曜日当日電話をするという相変わらずの無計画さだが、空いてくれていて実に良かった。

いわしや地魚の刺身に生しらす、あん肝、いわしのガーリックバターとかれいの塩焼きを食べて、〆にはいわしのつみれ汁。

ここまで魚ばかりを食べたのは一体いつぶりか思い出せないほどに、魚ばかりを食べて非常に満足した。

料理の素晴らしさに加えて、ここで交わした会話が会話が近年稀に見るほどに愉快なもので、大将と奥さん、常連のキタムラさんと一緒に旅の話、鉄道の話、釣りの話に興じているうちに4時間があっという間に過ぎてしまった。

長野の松本の話が出てきたり、高知へ青春18きっぷで行った話が出て来たり、一人旅こそ至高だという結論で一致したり、何だか趣味が合い過ぎて恐ろしいほどだった。

次キタムラさんに会えるとは限らないが、また必ず訪れたいと思う。

それにしても、行きつけに出来そうな居酒屋が神奈川のあたりでばかり見つかるのは一体どうしたことだろうか。

この辺に住めということではないか。