美味さんと夜遊びをした。
美味さんとの撮影はいつも前日とか、下手をすると当日とかに決まる。
この日の撮影も前日に決まったのだが、この時は美味さんが東海を離れて広島に行ってしまうというタイミングだったから、撮影の機会を作ることが出来て良かった。
そういえば、美味さんと初めてご一緒したのも夜だったなと思いながら、名古屋駅から大須までぶらぶら歩く。
ストロボなどという文明の利器は持たないから、美味さんを照らしてくれる光源を探しつつ撮ることになるのだが、幸い大都会名古屋は光に溢れていて、撮影場所には困らない。
露光不足と遅いシャッタースピードによる手ぶれには十分注意しつつ、光のバリエーションと角度を意識して、ぽつりぽつりと拾うように撮っていった。
私のお気に入りは、反射、夜風、ヘアカット、スポットライトである。
それにしても、これを書いている今頃、既に美味さんは広島の空の下にいると思うと、一抹の淋しさとともに、世の無常を感じずにはいられない。
勿論、そのこと自体には善悪も功罪もなくて、私にはただただその事実を受け止めることしか出来ないわけだが、少なくとも元気でやって貰いたいと思う。
また会う機会は、作るさ。
___
薄暮
___
大須⑴
___
大須⑵
ー撮影後記ー
普段、夜撮影はあまりやらない。
私のように咄嗟撮影が主体の人間にとって、ズマールを開放で使うことによる描写の緩み、距離計が見えにくくなることによるピントずれ、シャッタースピードを落とすことによる手ぶれと被写体ぶれ、この三重苦が致命的に打率を低くするからだ。
ただ、今回のポートレートの結果を見て、じっくり落ち着いて撮ることが出来るのならば、夜撮影も十分に可能だと分かった。
この中には、1/30のシャッタースピードで撮った写真もあるはずだが、壊滅的に手ぶれをしている写真は少なかった。
ズマールの開放描写についても、そこまで緩々になっているのは思えず、以前所有していたズマリットよりはだいぶマシだと思う。
カメラは適材適所で使うべきだとよく言われるが、それさえ意識していれば、ライカⅡのようなハンデの多いカメラでも十分に撮れる。
やはり我が愛機は素晴らしい。