ポートレートを初めて撮った時の被写体は実はアイドルで、まだ鹿児島にいた頃、もう10年近く前の話になる。
アイドルとは言ってもご当地アイドルではあるのだが、それなりに固定のファンがついている中に、ただカメラを使いたいだけの私が入っていくというのは、今考えると恐ろしいことだった。
幸いみんな優しい人たちばかりだったから、虐められるということはなかったけれど。
その後も何回かはその撮影会に行ったり、福岡で開催されていた撮影会に出たりしながら、細々とポートレートはやっていたのだが、本格的にやり始めたのはやはり三重に来てからだろう。
凄まじい時などは、毎週必ずと言っていいほどポートレートの予定を入れていたし、1日に数件撮ることもあった。
その時からするとかなりクールダウンはしていて、今は月に1回撮るか撮らぬかだけれど、途切れることなく撮影を続けている。
ただ、最初の頃からするとやり方はかなり変わってしまっていて、本式の人から言わせるとそんなものはポートレート撮影ではないと言われてしまいそうな至極簡単なスタイルになってしまった。
私自身はフィルムカメラ1台、レンズ1本しか持っていかないし、モデルにもあれやこれや要求しない代わりに、快適に過ごせるようなアイテムを用意することもないし、撮った写真をレタッチして渡すこともない。
ひとくちにポートレートとは言っても、様々な世界があることを自ら体験した上で辿り着いた今のスタイルに、実は結構満足している。