叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

好いひと


今考えてみると大変お恥ずかしい話で、当時大学生だった私と30前後のお姉様との間に、恋愛感情など生まれようがないのだけれど、私は一体何を期待していたのだろうか。

ふたりでオムライスを食べに行った。

東京に引っ越した彼女に会いに行って、年越し蕎麦を食べて、日本酒を飲んだ。

そういえば、当時はまだ積極的にアルコールを摂取するような私ではなかったけれど、その時に初めて日本酒を飲んだような気がする。

あのひとと飲んだから日本酒が好きになったのだというのは、あまりにも思い出を美化し過ぎているような気もするが、そのぐらいの錯覚は許していただきたいものだ。

もう少し、気が利く私であったなら、何か変わっていたのだろうか。

東京で別れたあの時の情景は、昨日のことのように覚えている。

もしその時、私がカメラを持っていたならば、1枚ぐらいは撮らせてもらって、今でも懐かしくそのひとを思うことが出来たのに。

でも、写真がないからこそ、いつかどこかで会うことは出来ないだろうかと、思い続けることが出来ているのかもしれない。

今更再会したところで、何がどうなるというわけでもないのは分かっているのだけれど。