私は、自分の外見というものに対してコンプレックスを抱いていない。
肌が汚いだの、前歯が大きいだの、首が短いだの、余人からすれぼ劣っている部分は多いけれど、自分が其れを気にしていない。
思えば、同年代の人間が如何に人様に良く見られようと努力していた時に、服は体に着るものだろうというごく当たり前の言葉を、私は信奉していた。
必要最低限のTPOは弁えるとして、後は死なぬ程度の服装さえして良いと本当に思っていた。
常にこのような思考の下に行動していたから、身体的な特徴に対しても無頓着になってしまって、その結果が今の私である。
弊衣破帽を体現しようとしたことが、ある意味ではコンプレックスの克服に一役買ってくれたと言えなくもない。
今となっては、多少やり過ぎてしまった気もする。
もう少し、外見から世俗に染まるという事を意識していれば、今のような変な人間にはならなかったかもしれないのだ。
外見ひとつで人間は中身まで変わるということの意味を、今は染み染みと感じている。