叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

90歳たち


本日はお休み。

で、新しく購入したニッケルのエルマーが届く日。

待ちわびて待ちわびて、配達完了の報告が来た瞬間に寮監のところへ受け取りに行ったら、私の姿を視認した瞬間に持ってきてくださった。

私が首を長くして待っていた荷物だということがバレていたのか、お互いに苦笑いである。

届いたニッケルエルマーは、シリアルから見るに1932年生まれ。

ボディのDⅡも1932年だったから、同じ歳生まれの90歳である。

オーバーホール済みの個体で、絞りの動きもヘリコイドの動きは申し分ないし、外観的にも非常に美しい。

ボディに取り付けてみると、ニッケルの鈍い輝きがDⅡとこれ以上ないほどにしっくりくる。

ただ、私はコレクターではないから、例えどんなに外見が美しくても、ちゃんと写ってくれなければ困る。

それで、早速試写に出掛けた。

1ロール撮り終えて現像に出して、味噌煮込みうどんを食べながら待つこと1時間。

こんなにビクビクしながら何かの結果を待つのは、高校受験の時以来だったが、出て来た写真を見て一安心した。

金属や塗装の質感、窓に写り込んだ景色も、美しく描写してくれている。


逆光で苛めると多少ゴーストが出るが、暗部がしっかり写るほどの明るさながら、ハイライトである窓の外もちゃんと残っている。


当然フレアも入るけれど、ちゃんと解像してくれているから良いのだ。


あとは数枚、作例を載せておくけれど、90歳の老兵たちが吐き出す絵は、どこまでも優しい。

こういう絵は、やはりデジタルでは出せない。







正直なところ、今回のレンズでもしまともな写真が撮れなければ、フィルムカメラそのものを辞めてしまおうとすら思っていた。

然りとて、今更あのプラスチッキーで、バカみたいにデカいデジタルカメラに戻る気もせず、悶々とした日々を送っていたから、今回、まともに写るボディとレンズの組み合わせを見つけることが出来て本当に良かった。

あとは私が、世界をどのように切り取るかである。