とあるカフェの経営者がSNS上でつぶやいた、菓子だけを食べて飲み物を頼まない客へのぼやきが炎上していた。
経営者に同調する形で、カフェに入ったのならコーヒーの一杯頼むのが当然という意見もあれば、客が飲み物を頼みたくなるような仕組みづくりを怠っておきながら、それを客のせいにするのはけしからんという意見もあって、殆どの人がその店とは無関係だろうに、よくもそこまで盛り上がれるものだと感心してしまう。
其々が私こそが正義だと言わんばかりに声高に主張しているのを側から見ているのはとても愉快なのだけれど、所詮この手の話には正解などなく、飲み物を頼んで欲しい経営者も菓子だけを食べたいと思う客もどちらも間違ってはいない。
要は単なる価値観の相違からこうやって侃侃諤諤議論を戦わせている訳だが、そのこと自体は、常識に縛られて画一的な考え方しか出来ないと言われてきた日本人の多いなる進歩と捉えても良いのではないか私は思っている。
これは皮肉でもなんでもなく、もはや自らが持っている価値観でで相手を測ることが出来ないことを理解した上で、自らの価値観を堂々と他人に対して披露し、さらに他人の価値観も尊重した上で、時に折り合い、時に反発しながら生きてゆくしかない時代がやってきたということではないのだろうか。
今はその過渡期で、色々と軋轢が生まれるのは仕方のないことなのかもしれない。
みんな仲良くなんて出来っこないけれど、安易に他人を否定することだけは慎んで生きてゆこうと思う。