叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

徘徊


今日は施設に入っている祖母に面会に行った。 

だいぶ認知症が進んでいて今は数時間前のことも忘れてしまうようだが、一年近く会っていない私のことは確りと覚えていた。

名乗る前に私の名前が出てきたから、適当に話を合わせた訳ではないと思う。

私としては覚えていてくれたことがとても嬉しかったのだけれど、認知症になると家族のことさえも忘れてしまう人がいる中で家族のことだけは覚えているというのは、本人にとって実は辛いことなのではないのかと考えてしまった。

いっそ全てのことを忘れてしまって、自分が何を忘れているのかさえ分からない状態になれば、心穏やかに生きてゆける様な気がするのだ。

私も歳を取れば認知症を発症することがあるかもしれず、もしその症状が漸次進行する様なものであった場合、精神の安定を保つことが出来る自信は現状ない。

だとすれば、そのような事態になった時に自分のことをどのように処分するのか、今のうちに考えておく必要があるのかもしれないず、祖母に会えたことは勿論嬉しかったものの、多少暗澹たる気持ちが萌してしまったことも事実である。

祖母との面会は午前中で終わったので、午後からは街中に出てじっくりとスナップを撮った。

黒白フィルムを入れていたから別に撮り切るつもりはなかったのだが、光の状況が良いとやはりシャッターが進んで1ロール36枚を撮り切ってしまった。

私には珍しく、ワンシーンを数カットに分けて撮るようなことをしたせいもある。

現像を急ぐつもりはなかったけれど、仕上がりが愉しみなカットも数枚撮れたから早速明日現像に出そう。