叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

容姿


今週の初め頃から大きな茶色のカメムシが2匹、私の部屋の窓ガラスと網戸の間にいる。

網戸の隙間から外には出られるはずなのに、何故か2匹揃ってずっと留まっている。

ガラスさえ閉めていれば室内には入って来られないから何の実害もないので、彼らを観察することが日課のようになってしまった。

それにしても、彼らは何のためにここにいるのだろうか。

今の時点で1週間近く飲まず食わずでぢっとしている訳だが、最早ここで死のうとしているのか、2匹は番でここで産卵でもしようとしているのか、単純にここから出られずに困っているだけなのか。

本来であればシノゴの言わずに助けてやるのが人の道というものなのかもしれないと思いながら、どうにもあの見てくれの虫を触る気にならない。

ここにいるのが蝶や甲虫だったならば私は救いの手を差し伸べていたかもしれないと思うと、カメムシというものはその容姿で大いに損をしていることになる。

人間界でも似たような事はままある訳で、容姿の美醜がそのものの価値を決める訳ではないけれど、人間の心情としては偽れざる何かがあるのもまた事実ではあるとしみじみ感じてしまった。

願わくはカメムシくんたち、このまま死なれては寝覚が悪いのでさっさと自然に帰ってください。