叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

強行軍


行動開始はまだ夜も明け切らぬ4時半。

7時始発のバスをのんびり待っていては東京での予定をこなすことが出来ないのは明らかだったから、6時の電車に乗るために寮から駅までの5kmをとぼとぼ歩いたわけだ。

その後はこの1ヶ月の間に何度通ったか分からない東海道線を眠ったり起きたりしながら東上する。

今日は豊橋から熱海まで全く乗り継ぎなしという電車に乗ることが出来たのだが、この距離は座っていても立っていても辛い。

6時間かけてへとへとになって渋谷に着いたのはもう昼過ぎで、そのまま渋谷で開催されていた写真展に赴いた。

相変わらず感想というものは持たないが、私は写真展に来るたびに所詮人間は永遠に分かり合うことなど出来ないのだという思いを強くする。

渾身の力作を見て感心こそすれ、自分も同じような写真を撮りたいとは少しも思わない。

私の我は多少強過ぎるかもしれないけれど、フォトグラファーというものはおおよそこんな考えの人間ばかりだろう。

自分の撮る写真を誰よりも自分が愛している。

自己愛を他人に理解してもらうというのは土台無理な話なのだから、結局写真を撮るというのは孤独な作業であると言わざるを得ない。

仕事で写真を撮っている人や、承認欲求を満たすために撮っている人はまた違うのかもしれないけれど。

そんなことを考えながら、写真展の後は丸の内近辺でポートレート撮影に臨んだ。

展示などを観たあとは、ややこしいことを考えてしまいそうになるが、お馴染みのモデルさんだから好きなようにやらせていただいて撮れ高もいちいち気にしない。

完成のイメージも大して考えずにやるというのは何とも妙な話だが、私はそれで良いのだ。

ポートレート撮影の後は、関東に来た時の定番であるパーチで夕食を食べた。

どうせ冬までは来ることが出来ないのだから、食べたいものをたらふく食べて非常に満足した。

明日は帰らねばらない。

京都まで大きく回って帰ろうかな。