昨日お会いしたライカ使いの御仁、ポートレートはお気に召さない様子で、ポートレート展を見て来たばかりの私はその点のみ、苦笑いするしかなかったのだが。
ただ、私もポートレートは撮るとはいえ、可愛いアイドルポーズのモデルや澄ました表情であさっての方向を向いているようなモデルの写真は撮らない。
それでは、私の撮りたいポートレートのテーマは一体なんであるのかということについてはずっと考えていたのだが、旅情というものがひとつのキーワードではないかというのが最近分かってきた。
私の旅情を、モデルを通して表現しているとでもいえば良いのだろうか。
ひとり旅ばかりしている私は、旅先でも赤の他人と街の風景ばかり撮っているわけだが、それらの被写体とコミニュケーションを取ることはなく、そこに私の感情を投影することは出来ない。
だが、ポートレートを撮るとなれば話は別で、モデルと写真を撮りながら街を歩き、時には土地の名物を食べたり風光を眺めたりするわけで、そのような時間を共有する中で、私の感情がモデルに反映されて、写真にも表現されるような気がする。
そして、そのようにして撮れた写真が、私自身大好きなのだと思う。
このように考えてみると、せっかくポートレートが盛んな愛知という土地に住んでいながら、愛知では積極的に撮ろうとは思わない理由にも合点がゆく気がする。
何とも、残酷な話ではあるが。