叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

心丈夫


良き人との出会いは脳味噌をどんどん活性化させてくれるようで、名古屋で出会った御仁との会話から、本当に色々なことを考えさせられている。

高額なカメラを見せていただいた感激のほとぼりが冷めた後に沸々と湧き上がって来たのは、私と同じように街中を徘徊するストリートフォトグラファーに出会えたことに対する悦びである。

私も時代の子であるから、Instagram等のSNSを使って他人が撮るストリートスナップを見てはいるものの、実際にそんな写真を撮っている人と言葉を交わしたのは初めてだったし、しかもその人が鵜の目鷹の目で最高の瞬間を追い続ける本格派の人だったというのは、正に僥倖と言って差し支えない。

彼と交わした短い会話の端々に、ストリートフォトグラファーならば首肯せざるを得ない強いこだわりを感じたし、それに共感することが出来た私の感性についてもまだまだ捨てたものではないと、少しばかりの自己肯定感を得ることが出来た。

ストリートフォトグラファーは、互いに共感はすれど同調はせずという世界に生きていて、わいわいと群れ集まって写真を撮ることが出来ないから、実はとても淋しい存在である。

それでも、同じ志を持った人間が街中にいて今日も写真を撮っていることが実感出来たから、私は今、大変に心丈夫だ。

写真を通じて得るものは、撮影結果ばかりではないことを思い知らされている。