叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

得たり


6連勤のあとは流石に疲れていたけれど、髪を切りにゆかねばならなかったのでのこのこと出掛けた。

2ヶ月ぶりに散髪をしてさっぱりした上にワックスまでつけていただいたので、さらにのこのこと名古屋までやって来た。

日記のねたにでもしようと栄でやっているポートレートの展示を見に行った後、スナップをしながら時間を潰していると中東風の外国人に声を掛けられた。

声を掛けられた瞬間、首からぶら下げたライカが目に入ったので、私のバルナックライカに反応してくれたことが分かったのだが、驚くべきは鞄の中から無造作に取り出したもう1台のカメラ。

何とブラックペイントのM2だった。

これ今幾らするんだと思って調べてみると、200万円とか500万円とか途方もない数字が出てくる。

首からぶら下げていたM10monochromeと2台分のレンズを合わせれば、安く見積もっても300万円以上はする計算になる訳で、全く吃驚してしまったし、M型のブラックペイントを直にこの目で拝める日が来るとは思わなかった。

こんな貴重な体験をさせてもらった上に、この外国の御仁は兎に角スナップが好きということで、目の前にある風景はみな同じだけれど、頭を使ってどう切り取るかが大切だとか、ポーズを取っているような被写体を撮るのはすこしも面白くないとか、話せば話すほどに我が意を得たりと叫びたくなるようなことばかりが彼の口から出るものだから、全く嬉しくなってしまった。

余りにも嬉しかったから、せめてSNS上だけでも繋がりたいと思ってInstagramをやっているかと聞くと、スマートフォンが嫌いだからやっていない、写真は家族と親しい友人たちに見せる為に撮っているという、どこまでも痛快な御仁だった。

正に一期一会の出会いだが、これもライカが引き寄せてくれたご縁で、ライカを使う功徳のひとつを大いに享受出来たように思う。

愉快な心地のままこの御仁と別れた後は、また栄の周辺をスナップして、最後は矢場の味仙で台湾ラーメンを食べたのだが、ここではなんと台湾ラーメン中最高の辛さを誇るエイリアンを食べる御仁と相席になった。

暇潰しに出て来ただけだったけれど、愉快な出会いもあれば珍しいものも見物できて、大変愉快な休日だった。

明日は夜勤だから、しっかり休もう。