叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

自然


どうやら私は本格的にジジイになってしまったようで、今日もそのつもりはなかったのに朝の5時には目が覚めてしまった。

二度寝するには微妙な時間だし、狭っ苦しいゲストハウスでスマートフォンを弄っていても面白くないので、早々にチェックアウトして由比ヶ浜に散歩に出掛けた。

いちど外に出てしまえば被写体には事欠かない湘南の海だからどんどん面白くなってきて、どこまでもどこまでも歩くことが出来る。

鎌倉から長谷まで歩き、長谷から七里ヶ浜までは流石に江ノ電を使ったけれど、七里ヶ浜から江ノ島まではまたてくてく歩いた。

由比ヶ浜も片瀬海岸もちょうど海の家を取り壊している最中で、いよいよ本当に夏が終わったのだと実感する。

日差しが強くなってきた頃には湘南に別れを告げて、ちょうど昼ごはんどきに熱海で途中下車した。

早起きのおかげで既に疲れていて、なんとしても写真を撮ってやるぞというような意気込みは既に失われていたから、街をぶらぶら歩きながらラーメンを食べたりわらび餅アイスを食べたり、観光客の真似事をした。

カメラを持っているからといって必ずしも撮らねばならぬということはないし、私の愛機はとりあえず持っていこうというスタイルに最も適したカメラのひとつだったことを今更のように思い出す。

いつもは全くやらないのに、途中の沼津でも下車してわざわざバスで港まで行くことしたのは、改めて気付き得たことが嬉しかったからだろう。

沼津は私が思っていたよりもかなり賑やかな街で、駅前から伸びる商店街も中々の長さがあったし、港の周辺は飲食店や土産物屋が集まった一角は観光客でごった返していた。

ここでも積極的に写真を撮ろうという気はなかったけれど、やはりぶらぶらしているとシャッターを切らずにはいられない瞬間に遭遇するものである。

楽しげに海を眺めている友人同士や、背中合わせになって体育座りをしているカップル、鮮やかなオレンジ色のジャケットを着た女性ライダーなど、それはそれは魅力的な被写体が私の目の前に現れてくれた。

最近は被写体たりうるかという理由で旅の行き先を決めてしまっていて、京都だったり江ノ島だったりに行けば、それなりの確率で印象的な場面に遭遇することが分かっているのだが、それだけではやはり面白くない。

血眼になって被写体を探す撮影も、肩の力を抜いた撮影もどちらも大切にしてゆこうと思えた旅だった。