それを美しいと感じこそはすれ、被写体に対する愛情というものは殆どないのが私である。
考えてみれば当たり前の話で、道行く人を撮っているだけの私が、被写体に愛情があるといえばそれはある種の変質者になってしまう。
だから、私の撮る写真は、あくまでも私の為にあるのであって、それを以て被写体を喜ばせようという意図もなければ、ましてやそれを商用にしようなどは考えたこともない。
ただ、鹿児島に帰ってきて3ヶ月、私に近いしい人や地元の光景を撮る機会があって、それを友人に見せると案外喜んで貰えるということが分かった。
それからは、全く単純な話ではあるが、人の為に撮る写真も悪くないと思うようになっている。
特に、私が甑島で撮った写真を、島の友人が自分のブログで使ってくれたことは非常に嬉しかった。
自分の為に撮った写真が、時には人を喜ばせることがあるということ、それをわざわざ伝えてくれる人がいるということは、私にとっては新しい発見で、たまには人に頼まれて撮るのも良いかもしれない。