叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

恐怖


鹿児島に帰ってきてから10日近く経った。

写真はやはり全く撮らなくなってしまった。

この10日の間にポートレートは2件撮ったけれど、これはある程度異常なことで、これを以て写慾衰えずと云うわけにもいかないだろう。

部屋に篭り続けているわけではなく、毎日のようにカメラを持ち出して散歩をしているのだ。

それでも、やはり鹿児島はどこまでも馴れた街、馴れた道であって、たかがバルナック程度のカメラでさえも取り出すのが億劫になってしまっていて、なかなかシャッターを切れない。

日常に隠された美を切り取るとか、日々移り変わる街の情景を記録するとか、私が撮りたい写真は鹿児島では撮れないのだろうかと思う。

鹿児島に住んでいた時はまだまだ本格的に写真をやっていたとは言えなかったし、写真を撮る時はわざわざ出掛けていた。

今、改めて鹿児島に戻ってきて、これまで通りに街に繰り出してスナップを撮るということをやりたいのだが、なかなか気分が乗らない。

このまま鹿児島に腰を据えてしまうと、写真を撮ることすらやめてしまうのではないかと、今は少し恐怖すら感じている。