叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

限界


コダックのフィルムが値上がりしたらしい。

フィルムの値上がりについては最早止められるようなものではないのだから、せめて生産があることに感謝しつつ細々とやってゆくより他ないのだが、その細々の中にポートレートを含めるべきかについて悩んでいる。

私の場合、2時間ぐらいの撮影で2本か3本のフィルムを撮り切ってしまうから、大体フィルム代と現像代で6,000円ぐらいがモデル料に乗ってくる訳で、この負担はやはり大きい。

相互無償でモデルを引き受けてくれる人を探したい思いもありつつ、撮った写真をモデルに渡せないというリスクを考えると、それにもあまり前向きに考えられずにいる。

デジタルカメラならば機材の不調は撮る前に明確に分かるし、撮ってしまえばデータが消えてしまうことも殆ど無いだろうが、フィルムカメラの場合は、そもそも撮影の結果をその場で見ることが出来ないから、その時は調子良くシャッターを切っていても、機材の不調や操作ミスで何も写っていませんでしたということがざらにあるようだし、その後の現像における過程においても常に撮影結果を消失する不安が付き纏う。

相互無償でモデルを引き受けてくれた人を撮った撮影結果が、もし何らかの手違いで消失してしまった時の申し訳なさを思うと、取り敢えずはお金を払って撮らせてもらった方が精神衛生的に良いのだ。

ただ、その精神的な保険料が、フィルムの値上がりとともに払えなくなる時がいつかは来るかもしれないということを、私は自覚しておかなければならない。

ポートレートがひとつの重要なライフワークであることには間違いないけれど、それでも、私はスナップを撮り続けたいと思っているのだから。