叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

最小限


私は今、バルナックライカと呼ばれるフィルムカメラを使っている。

バルナックライカにも様々な種類があるが、私が所有しているのはDⅡと呼ばれる、初めてピント合わせ用の距離計が内蔵されたモデルだ。

1932年製の御歳90歳で、私が40歳になる頃には100歳を迎えると思うと、このような古いカメラが現役で動き続けていることに驚きを禁じ得ない。

わざわざそんな昔のカメラ撮らなくてもと思う向きもあるだろうが、ただ写真を撮ることに使うのであれば、このカメラがあれば十分なのである。

手ぶれ補正だの、被写体検出だのと云った便利な機能はないし、ISO感度はフィルムに左右され、高くてもせいぜい800までしか使えないし、高速域のシャッターも精度の怪しい1/500までしか切れない。

デジタルカメラユーザーからすると欠陥品なのではないかと云われそうなカメラだが、出来ることが少ないからこそ、シンプルに写真を撮ることに集中出来る。

今のカメラはあまりにも機能が多過ぎて、私に限って云えばその高性能を活かし切ることが出来ず、様々な新機能に最早魅力すら感じない。

ここまで減らすことは出来なくても、もう少しシンプルな機能を持ったカメラが出て来ないだろうか。