京都で夜遊びをした際の記録。
お相手はくーちゃん。さん。
薄暮というには、少し遅い時間から始めた。
この時点で、この日の取れ高の少なさを覚悟したのは、あまりにも距離計の二重像が見えなかったからだ。
いつもならば、二重像の中に映る被写体の違和感が無くなったタイミングでシャッターを切るのだが、暗くてその肝心の違和感が見えない。
ピントリングをぐるぐるぐるぐる回しながら、見えぬ見えぬと騒ぐみっともないカメラマンになってしまったのに、シャッターを切る瞬間にはしっかりと表情を作っていただける。
ファーストロールは途中からだったから直ぐに撮り終えてしまって、ここからはロモグラフィーの800を使い始めた。
フラッシュがたけないカメラだから、夜は光源を探して歩き回ることになる。
ピント合わせの為にも、モデルさん自体が光ってくれれば良いのにと思ったし、実際に口走ったら笑われた。
有料駐車場の付近も光源としては大変優秀だ。
ロモグラフィーらしく、緑の強い発色。
ズマリットといえば虹のゴーストを愉しむのが定番だが、フィルムカメラで運用する場合、日中はf値を絞るからほぼほぼ発生しない。
そろそろフィルムが切れそうだったので、多国籍料理カフェみたいなよく分からないお店で小休止。
まだ肌寒い中、フローズンドリンクを飲んだら震えた。
ここからはシネスチルの800を使っている。
連写なんて出来ないカメラなのに、連写をしたような構成になっているのが面白い。
どしどし散歩していると、小休止したお店に私が帽子を忘れていたことに気付いて、一度取りに戻った。
気を取り直してどしどし散歩していると、今度はくーちゃんさんがマスクを、そのお店に忘れてしまったことに気付いた。
もうかなり離れてしまっていたので、撮りに戻ることは諦めて、私が持っていたマスク(新品)を進呈した。
そういえば、シネマチックに写ると評判のシネスチル800、例えばこの写真などがそうなのだろうか。
映画を全く見ないので、シネマチックの何たるかが理解出来ていない。
本当は先斗町の雰囲気でも撮りたかったけれど、人通りがまだまだ多かったので諦めた。
歩き回って、大体身体も温まってきたが、もうお別れの時間である。
それにしても、最初惨憺たる結果を覚悟したにも関わらず、これだけしっかりと写っていたのは、誠にくーちゃんさんのお陰と言う他ない。
私はカメラの操作とピントを合わせるのにかかりきりで、ポージングの指示も表情の指示も、まともにやってはいないのだから。
ピントが合わない、ピントが合わないと騒いでいただけだ。
くーちゃんさんとは何度もご一緒しているから、そこは大いに甘えている。
夜のポートレート、実に愉快だった。