カメラをやっていますと言うと、ではイベントの写真を撮ってくれとか、記念撮影をやってくれとか頼まれることがある。
アァ、そういうのは撮れないんですと返すと、ではどういうものなら撮れるのだと、凄く怪訝な顔をされるので、もう最近は言わぬようにしている。
50ミリの単焦点一本、フィルムカメラで、一般の人が期待するような写真が、一体どれほど撮れるものだろうか。
そしてそのカメラの限界を、一体どれ程の人が理解してくれるだろうか。
以前はデジタルカメラを使っていたから、レンズさえ変えれば多少の融通は効いただろうけれど、今はもう完全に無理だ。
カメラに限らないが、趣味の世界というのは、あくまでも自分の為にあるわけで、そこに勝手な他人の意思が介入してくると、途端に面白く無くなってしまう。
理解されにくいものを敢えて披露してゆくことで、多少関心を持ってくれる人がいるかもしれないが、殆どが珍奇なものを見るような目をされて終わりだろうから、私はもう語ることさえ止めてしまった。
いつか心から愉快に、趣味のことを誰かに話せる日が来るといいなぁと、思っている。