叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

原初


イカのI型が欲しい。

前にも書いただろうか、ピントを合わせる為のレンジファインダーすらなく、レンズもエルマーの50mmが固定されているという不便この上ないカメラである。

私が今使っているII型の兄貴分だ。

みんなが新しいカメラを追い続ける中、なぜ私は時代に逆行し続けるのか、多少カブいてみたいという気持ちがないかといえばウソになるけれど決してそれだけではない。

今後も進化し続けるであろうデジタルカメラはさらに便利になり続けるだろうが、その進化は写真というものに対する理解を阻害すると考えていて、それよりはむしろ原始的なカメラを使った方が写真というものへの理解が深まりそうな気がしているのだ。

持てる性能の全てを引き出すことが出来るカメラを手にして、余計なことは一切考えず、その一瞬一瞬を切り取ってゆく。

単なる記録写真的なものは有象無象が所有しているスマートフォンのカメラや、街中にある監視カメラに任せておけばよく、私はただ私が美しいと思った光景を、あくまでも個人的に記録してゆくのだ。

その為の相棒としてはとにかくシンプルでコンパクトなものが良く、II型でも十分といえば十分なのだが、さらに上をゆくものが存在するのならそれを使ってみたいと思うのは人間のサガである。

方向は全くの明後日だけれど、私もカメラ沼のひとりであることは認めねばならぬらしい。