叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

とある死


同い年の俳優さんが亡くなった。


自死だった。


若い人間が自死すると、大体、その環境から逃げて欲しかったとか、周囲はその人の苦しみに気付いてあげられなかったのかとか、果ては日本の社会そのものが悪いとか、よく分からない議論が百出する。


そして、自死する人は全く自己中心的で、残される人間の気持ちを考えていないというような批判までされるけれど、死を考えるほどに追い込まれた人に、他人のことを考えろという方が酷だろう。


如何なる理由があろうとも、30を過ぎた一人の男が自ら決断したことに対して、周囲がいろいろと言うべきではないと考えている。


確かに、絶望からの自死は寂しい。


しかし、自分が逃げることで信義に悖る結果を招いたり、自分の生き方に筋を通せなくなったりして、それでは生きる甲斐がないと考えた結果が招いた自死だとしたら、私はその意思を大いに尊重したいと思う。


理想へのこだわりが強い人、自己を律する気持ちの強い人、正義感の強い人は、理想と現実とのギャップに悩まされることも多いのだろう。


斯くあらねば、斯くありたいと思い続けて、それが叶わなかった人に対して、私は決して死ぬなとは言えない。


一人ひとりの人間が、それぞれが思う通りに生きることが出来れば、それが一番良いのだろうけれど、そんな世界は多分未来永劫訪れないだろうと、私は悲観的になっている。







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