叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

初日の出


朝の5時には起床して初日の出を見に行った。

また青島に行くことも考えたけれど、2日連続で同じところへ行くのはツマラナイので少し北上して高鍋海浜という場所にした。


日の出は7時15分ごろということだったものの、早めに着いておいた方が良いと思い6時半過ぎには行ったのだが、既に多くの人が海岸には集まって来ていて、日本人の初日の出好きには改めて感心されられた。

待っている間にも人はどんどん増えてきて、今日は群衆を副題に初日の出を撮るしかないかなと考えていたところ、ちょうど人が途切れたところにひと組のカップルが佇んでいる。

これは良い副題が見つかったと思い、周囲に人が来ないことを祈りつつカップルの後ろに付いてタイミングを待っていると、私がそのカップルを撮りたいので退いてくれと、いきなり見ず知らずのフォトグラファーに声を掛けられた。

その人はかなり遠くから望遠で初日の出とカップルを撮ろうと思っていたらしく、彼のカメラの画角に私が入り込んできたことが気に食わなかったらしい。

私が彼のカメラの目の前に強引に割り込んだということであれば当然私にも非があるが距離は相当に離れていたし、例えそのカップルを彼が撮影の為に雇って撮影会の如き催しを行っていたとしても、公共の場所で赤の他人に退けと言う権利を持っているはずがない。

長いこと写真をやっていると見ず知らずのフォトグラファーとコミニュケーションを取ることは多々あるけれど、そんな声掛けをされたのは初めてだったから本当に面食らったし、口調こそ丁寧だったものの、不特定多数の人間がいる中で自分の写真のために自己中心的な振る舞いが出来る神経に心底驚いてしまった。

こういうのは、例えば公園のベンチに座っている人間にいきなり退けと言うようなもので、彼も普段からこんな傲慢な真似はしていないはずだが、どうもフォトグラファーというのはカメラを持つと妙な気を起こしてしまう人種らしい。

ツマラナイ喧嘩をしたくなかったから今回はさっさと退いてやったけれど、一般人にこれをやれば立派な炎上案件になるだろう。

正直なところを言えば、私も街中で写真を撮っている時にカメラと被写体の間に意図しない人間が入り込んで歯噛みするような思いを抱いたことはある。

ただ、だからと言って入り込んできた人に退けなどと迫ったことはないし、そういう偶発性を愉しんだり諦めたりすることが出来ないのなら、公共の場で写真を撮るべきではないと思う。

新年早々全く嫌な同族に出会って気が滅入ってしまったのだが、斯く云う私自身も写真を撮る中で人様に迷惑を掛けていることがあるかもしれず、公共の場では可能な限り他人に不快な思いをさせないように振る舞おうと、改めて心に誓う良い機会にはなった。

愉しく写真を撮り続ける為にも、今日の出来事は決して忘れないようにしよう。