両親には、魚は白身、肉は鶏豚みたいな好みがあって、私も二十代前半まではその刷り込みの中で生きていた。
最近は、鮪の刺身も好きだし、牛のステーキも食べるけれど、こういうの少し哀しくもあるのは、刷り込みが少しずつ薄れてゆくのが感ぜられるからだろうか。
歳を重ねるほどに、人間は変化を嫌うようになり、好みも固定化されるというけれど、私はむしろ、何にでも手を出すようになっている。
その時その時の気持ちのままに物事を選択してゆく。
それでも、自然な気持ちに従っていたとしても、行動が固定化されてきた時、私も歳を取ったということになるのだろうか。