叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

同類


撮り鉄と呼ばれる人たちがいる。

先日、青春18きっぷを使って湘南まで出掛けた時もその人たちが駅の至るところにいて、ホームを駆け回りながら写真を撮っていた。

被写体が異なるとはいえ、カメラを使うという点では同じ趣味を愉しんでいる彼らには奇妙な親近感を抱いているのだが、それ故に一部の撮り鉄の非行が世間で槍玉に挙げられるたびに、私は悲しくなってしまう。

電車を追いかけていない時の彼らは、おそらくまともな常識人であるはずなのだ。

ただ、愛してやまない電車の一瞬を捉えたいという思いがあまりにも強いせいで、他人の迷惑を顧みることが出来なくなってしまうのだろう。

そしてこの性質は、撮り鉄に限らずカメラを握っている人間にはある程度備わっていて、私も気付かぬだけで他人に舌打ちをされるような行為に及んでいることがあるはずなのだ。

駅で必死に頑張る同類を眺めながら、互いに長く趣味を続けられるように襟を正そうではないかと、お節介にも呼びかけたくなる気持ちが湧き出すのをどうすることも出来なかった。