愛知に帰ってきた。
飛行機という乗り物は、全く悲しくなってしまうほどに速く、私に故郷を思う暇も与えてはくれない。
こんなことなら帰らねば良かったと思うほどに、今の私は淋しさを感じている。
コロナが盛んだった頃は、鹿児島に帰るという選択肢がそもそも無かったし、それならばと長期連休の時はどこかへ旅に出ていたから、このような淋しさを感じることも無かった。
鹿児島という土地、そこに住む家族や友人と向き合う時の悦びと、ほんの少しの煩しさ、そして彼らから離れねばならぬ時の淋しさは、ひとり旅の中では決して味わうことの出来ない感情である。
ここでの生活が板についたら、このような気持ちを抱くこともなく、故郷はただ懐かしいだけの存在になってしまうのだろうか。
そして、いつかは帰ることすら考えなくなって、またいつものようにひとりで旅をする日々を重ねるのだろうか。
今は狭っ苦しい部屋でこんなことを考えていることに耐えられず、お酒を飲みに都会に出てきた。
どうせ明日は雨降りで、まともに外を歩き回ることも出来ないのだから、今日は心ゆくまでお酒を飲んで、この淋しさを紛らわせることにしよう。