叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

島津雨


昨日は友人の結婚式だった。

慣れぬスーツを着て、ちょこまか動きながら写真を撮って、慣れぬ人たちと会話をして。

それでも、実に心地良い疲労感に身体中が包まれているのは、ひとえに新郎新婦を盛大に祝おうという人たちと、幸せな空間を共有出来たからだろう。

もうひとり招待されていた友人もいつの間にか結婚していて、わざわざ奥さんとお子さんを私に紹介してくれた。

こんな良い人たちの中に、不義理不親切の塊みたいな私が紛れ込んでいることが実に不思議で、もしかすると私はそんなに悪い人間では無いのかとも考えてしまう。

実は私は、結婚式に出るたびにそうやって自己評価を上方修正してみるのだが、それと同時に、私には結婚などという行為は到底出来ないという確信を深くせざるを得ない。

ひとりの人間と縁を繋ぎ続けるだけでも荷が重たいだろうに、そこにパートナーの親類縁者や友人までが入ってくるとなれば、私はいつか逃げ出したくなってしまうだろう。

そうやって逃げているうちに、私はどんどん取り残されている訳だが、ひとつだけ安心していただきたいのは、具体的な誰かから逃げたことはないということだ。

私は、あくまでもひとりで生きようとしている。

ただ、結婚という形ではないにせよ、守り続けたい人間関係があることもまた事実で、私はそれを大切にして生きてゆけば良いと思う。