叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

弔意


祖母の葬儀は、親族がたった6人集まっただけの、殆ど直葬と言っても良いものだったらしい。

生花祭壇は申し訳程度の小さな花籠、敬供品は私共三兄弟の生花スタンドのみ。

そのこと自体は、今どきの主流の葬儀だろうから百歩譲って良いとして、祭壇に果物もお菓子も何も供えられてはいなかったことが非常に悲しい。

私は祖母に会うたびに、食べ切れぬほどのお菓子を出してもらって、両手に余るほどの缶コーヒーやオロナミンCをお土産にもらっていたというのに。

近くに住んでさえいれば、最後ぐらい私がそれをやってあげる筈だったのに。

棺の中は見えなかったけれど、せめて棺には好物のひとつも入れてもらえたと信じたい。

断っておくが、祖母の葬儀を主導した人間は私の両親ではない。

祖母の息子、私の叔父にあたる人物である。

死んでしまった人間をしても何も分かるまいよという生者の傲慢故の行動か、それともただ肉親に対する情が薄いのかは分からないけれど、何れにしても酷薄な行為であることには違いない。

私が墓参りに行くときは、せめて沢山のお菓子と缶コーヒーを持ってゆこう。

このままでは、祖母があまりにも可哀想である。