叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

Mのこと


Mは、私より3つほど歳下。

結婚もして、子宝も授かって、聞けば自前の家まで建ててしまったらしい。

私が未だに手に入れられぬものを、全て手に入れてしまっている。

仕事への溢れる情熱、堅実な人生設計、スポーツマン。

私より2つ歳上の奥さんも、そういうところに惚れたと、惚気を聞かされたことがある。

Mとは、前の会社で同じ部署に所属していた。

奥さんは取引先に勤めていて、仕事で一緒になったことがきっかけで仲良くなったそうだ。

仕事を通して惚れてもらえるというのは、とても素敵な話である。
 
私がMのことを好きな一番の理由は、そういう話を不愉快な衒いも、嫌味な謙遜もなく、話してくれることである。

そういえば、新居に招待されている。

理由は分からないけれど、私も憎からず思われているらしい。

人の縁というものに、疑いを捨て切れない私ではあるけれど、この誘いは受けねばならぬと思っている。

私の心の中の、ちいさな、ちいさな、温もりである。