仕事で撮る人はいざ知らず、素人がポートレートを撮る場合は、モデルさんの容姿を見て撮るか撮らぬかを決めている。
とりもなおさず、モデルさんに一目惚れをして、恋をしているのだ。
だから、気味の悪い話かもしれないが、撮影中は恋をしている。
そうでなくては、見ず知らずの女性をわざわざお金を払って撮るものか。
恋をしているから、テンションが上がってしまって、また会いたくなるし、次の約束を軽々にしてしまったりする。
で、家に帰って来て、冷静になって、ふと淋しくなる。
少なくとも私はその繰り返しで、ポートレートは時々、無性に止めたくなって、実際止めていた。
其れでも最近は大いに割り切って、ただの思い出作りということにしている。
ひとりでは直ぐに忘れてしまうような日常でも、誰かと居ることで、そこで生まれた会話とか、感情とかが、多少は長く記憶に留まるのではないだろうか。
写真が残るのであればそれも尚更であるけれど、一体、私は何がしたいのだろうね、と、撮影を終えた後、いつも自己嫌悪に陥ってしまう。
やめだ、やめだ。