叢草雑記-

徒然なる日々を。わたくしを定義することはやめた。

ドライブ


車を作る会社で働いていながら、日常的に車を運転する機会は皆無と言って良い。

そもそも自家用車を所有していないし、レンタカーを借りようにも具体的に行きたいところがある訳ではないし、何より慣れぬ道を走って事故をすることが恐ろしいのだ。

ただ、秋がどんどん近づいて来て、透き通るような青空を眺めていると、あてどもなくドライブをしたいという気持ちが沸々と湧いてくる。

時間も周囲の目も気にすることなく大きな声で独り言を言ったり歌を歌ったりしながら、お腹が空けば食事をして、気になるお店があれば寄り道をするような、自由気儘なドライブを1日で良いから大いに愉しみたいのだ。

今の私は、仕事をしていても、寮で過ごしていても、電車で旅に出たとしても、どこかで常に人の目を気にしていて、本当の意味で独りきりになるという時間を持つことが出来ない。

車の中でのみ味わうことが出来る孤独というものがあると私は思っていて、今はそれに飢えているという状態なのだ。

本当は夏休暇でそれを思い切りやるつもりだったけれど、当てが外れてしまったから尚更である。

これ以上慾求不満が募るようであれば、あてどもないドライブであったとしても車を借りて適当に走り回ってみようか。

兎にも角にも、良い季節なのである。