大学生の頃は、結構本格的に武士になろうとしていた。
孔孟の思想に触れる事は当然、陽明学や禅の本も読んだし、薬丸自顕流、詩吟、輪読会、妙円寺参り等々、昔ながらの行事にもどんどん参加した。
今思えば妙な大学生だが、ここまで徹底していた人はあまり居なかったので、これはこれでひとつのブランディングになっていた気がする。
昔から、何かひとつにのめり込むとそればかりやるものだから、私といえばコレ、というようなレッテルを貼られることが多い。
今ならば、フィルムカメラだろう。
ただ、フィルムカメラで撮ることは誰にだって出来るのだから、そのこと自体は特に凄いことではない。
手間やコストを嫌って、やりたがる人が少ないだけだ。
本当は、フィルムで撮ろうがデジタルで撮ろうが、私にしか撮れない写真、ポートレートでいえば被写体の方に撮って欲しいと思われる写真を撮りたいのだけれど。
今はフィルムで撮ることだけが私のアイデンティティで、他はこれといって申し上げることもないし、ブランディグの為に作為的なことをするのも面白くない。
だから、写真をどんどん撮り続けて、精神が蒸留されて透き通って、これが私ですと無理なく言える日が来るように、今はやってゆこうと考えている。