振り返りの最後は、近所のお寺、聖寶寺。
中途半端に残ったフィルムを消費するために行ったから、写真の枚数も少ない。
ただ、こうして残しておかなければ、来年の私はこの写真の生まれた場所を忘れてしまっているだろう。
聖寶寺へは、西藤原駅といういつも乗っている三岐線の終着駅から20分ほど歩いてゆく。
道中、桜が咲いているのを見つけた。
長い石段を登ってゆくと、犬夜叉に出てきそうな立派な山寺が現れるが、ここが聖寶寺である。
ここで紅葉の写真を、光を絡めて撮ろうと思ったら、午後の早い時間までに到着する必要がある。
高い山の裾にあるから、すぐに日が翳ってしまうのだ。
紅葉の名所だけれど、銀杏も立派なものがある。
ただ、雌木だからギンナンの匂いがなかなか馨しい。
来年は、というより、もう一生ここへ来ることもないだろうと思うと、マァ、思うことがないわけでもない。
ただ、二度は訪れぬ機会なんて、人間は無自覚に何度もやり過ごして生きているだろうし、厳密にいえばモノゴト全てがそうである。
だから、いちいち感傷に浸っていてはキリがないけれど、それでも、たまには自覚してみるのも、人生の醍醐味かもしれない。